不動産チェック.jp
本ツールの計算結果は概算です。正確な税額は税理士にご相談ください。

計算ロジックと根拠

本ツールで使用している計算式・自動計算値・税法の根拠を全て公開しています。

1. 計算精度の検証

ざっくり説明

本ツールの計算ロジックは、開発者自身の4物件・5年分の確定申告データで検証しました。Python版とTypeScript版で全項目を突合し、最大偏差4円の精度を確認しています。

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本ツールの計算エンジンは以下の手順で精度検証されています:

  1. 開発者自身が保有する4つの区分マンション(取得総額約1.08億円)の実データを用意
  2. 2020年〜2024年の5年分の確定申告書を素材として使用
  3. Python版で先行実装し、税理士事務所が作成した申告書の数値と突合
  4. TypeScript版(このシミュレーター)で再実装
  5. Python版とTypeScript版の計算結果を、全項目で突合
  6. 全項目で差異0円を確認(端数処理の差異が出やすい項目で最大偏差4円)

この検証手順により、計算ロジック自体に重大な誤りがないことを確認しています。

ただし、自動計算値(取得諸費用・建物価格等)は推定値であり、実際の物件と乖離する場合があります。実数を入力できる場合は手動入力を推奨します。

2. 自動計算ロジック

シミュレーター内で自動計算される値の計算式と根拠を解説します。実数を持っている場合は手動入力で上書きできます。

2-1. 仲介手数料

ざっくり説明

不動産仲介会社経由で物件を購入した場合に支払う手数料。 法定上限は「(売買代金×3% + 6万円) × 1.1」で、3,000万円の物件なら約108万円。 販売会社から直接購入する場合は発生しません。

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法定上限の計算式

宅地建物取引業法により、仲介手数料には法定上限が定められています:

売買代金 仲介手数料の上限
200万円以下取引価格の5% + 消費税
200万円超〜400万円以下取引価格の4% + 2万円 + 消費税
400万円超取引価格の3% + 6万円 + 消費税

販売会社と仲介会社の違い

取引形態 概要 仲介手数料
販売会社から直接購入不動産会社が自社の所有物件を販売(売主)発生しない
仲介会社経由不動産会社が売主と買主の間に立って取引を媒介法定上限あり

どちらの取引形態か判断する方法

  1. 新築ワンルーム: ほとんどが「販売会社から直接購入」
  2. 中古ワンルーム: 多くが「仲介会社経由」
  3. 売買契約書を確認: 「媒介」「仲介」と書かれた会社があれば仲介会社経由
  4. 営業担当者に直接聞く: 「仲介手数料はかかりますか?」が最も確実

販売会社から直接購入する場合

新築ワンルーム販売会社や中古不動産販売会社が「自社所有物件」を直接販売する場合、仲介ではないため仲介手数料は発生しません。

ただし、売主と買主の間に別の仲介会社が入る場合は仲介手数料が発生します。売買契約書を確認してください。

税務上の扱い

仲介手数料は「取得価額」に算入されます。具体的には:

  • 土地分の仲介手数料: 売却時の取得費として控除可能(減価償却対象外)
  • 建物分の仲介手数料: 建物の取得価額に加算され、減価償却の対象になる

本ツールでは、土地・建物の比率で自動按分し、建物分はさらに本体・設備に按分して減価償却計算に含めています。

2-2. 取得諸費用

注意: 取得諸費用には仲介手数料・不動産取得税は含まれません。それぞれ別フィールドで入力してください。

ざっくり説明

売買代金の2%を「登記費用+印紙税」として自動計算しています。一般的な目安として1.5〜2%程度です。

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取得諸費用の主な内訳:

項目 計算根拠
登録免許税(土地)固定資産税評価額 × 1.5%(軽減税率)
登録免許税(建物)固定資産税評価額 × 2%(住宅用は0.3%軽減)
抵当権設定登記借入額 × 0.4%(軽減後0.1%)
印紙税(売買契約書)契約金額により1〜3万円
司法書士報酬5〜10万円程度

3,000万円の物件の場合、合計で40〜50万円(売買代金の1.3〜1.7%)が一般的。仲介手数料・不動産取得税は別途計上。

2-3. 不動産取得税

ざっくり説明

取得時に1回だけ課税される税金。建物価格 × 0.6 × 3% + 土地価格 × 0.7 × 1/2 × 3% で自動計算しています。

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不動産取得税の計算式:

建物の不動産取得税 = 建物の固定資産税評価額 × 3%

土地の不動産取得税 = 土地の固定資産税評価額 × 1/2 × 3%

評価額は時価より低く設定される傾向があるため、本ツールでは以下のように概算しています:

建物の評価額 ≒ 建物価格 × 0.6

土地の評価額 ≒ 土地価格 × 0.7

土地は住宅用地の特例で1/2に軽減

新築建物の1,200万円控除や、中古マンションの軽減措置は組み込んでいないため、実額より高めに出る場合があります。納税通知書があれば手動入力を推奨。

2-4. 建物価格・附属設備価格

ざっくり説明

売買代金から建物部分を抽出する按分計算です。区分マンションでは「建物30% / 土地70%」が一般的。さらに建物を「本体70% / 附属設備30%」に分けています。

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国税庁が認める建物価格の按分方法は4つ:

  1. 売買契約書記載額(最優先)
  2. 消費税からの逆算
  3. 固定資産税評価額の按分(実務で最も使われる)
  4. 標準的な建築価額表からの推定

本ツールでは方法3に準じた概算を採用:

建物比率: RC/SRC = 30%、S = 40%、W = 50%

建物本体: 建物価格 × 70%

附属設備: 建物価格 × 30%

「建物本体70% / 附属設備30%」の根拠:

これは税法で定められた比率ではなく、税理士業界の慣行です。建物本体は耐用年数が長い(RC造47年)、附属設備は短い(15年)ため、設備の比率を上げると短期的な節税効果が大きくなります。慣行的には60〜80% / 20〜40%の範囲で按分されます。

実際の按分は確定申告書の記載で決まります。確定申告書の値を持っている場合は手動入力を推奨。

2-5. 賃貸管理委託料

ざっくり説明

管理会社に支払う手数料の相場として、家賃の5%を自動計算しています。物件によっては管理費に含まれる場合があります。

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賃貸管理委託料の業界相場は家賃の3〜8%、5%が最も一般的です。これは公的な定めではなく業界慣行です。

物件によっては:

  • 管理費(建物管理)に含まれる
  • 集金代行のみで2〜3%
  • フルパッケージで7〜8%

の場合があります。本物件の管理委託契約を確認し、不要なら0円に手動上書きしてください。

参考:

  • HOME4U 賃貸管理にかかる手数料の相場(業界調査)
  • 武蔵コーポレーション 管理手数料の相場(業界調査)

2-6. 固定資産税

ざっくり説明

固定資産税・都市計画税の合計を、売買代金の0.15%で自動計算しています。実額は納税通知書で確認できます。

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固定資産税・都市計画税の計算:

固定資産税 = 評価額 × 1.4%(標準税率)

都市計画税 = 評価額 × 0.3%(制限税率)

合計税率: 約1.7%

ただし以下の軽減措置があります:

  • 住宅用地の特例: 200㎡以下は課税標準額1/6に軽減
  • 評価額は時価の約7割
  • 中古マンションの建物部分は経年逓減

これらを総合すると、ワンルームマンションでは売買代金の0.1〜0.2%程度が一般的。本ツールではその中央値0.15%を採用しています。

2-7. 社会保険料

ざっくり説明

給与年収の15%を社会保険料として自動計算しています。健保組合により多少異なります。

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社会保険料の内訳:

項目 料率(労働者負担分)
厚生年金保険9.15%(折半後)
健康保険約5%(協会けんぽ東京)
雇用保険0.6%
合計約14.75%

これを15%として概算しています。健保組合により料率が異なる場合があります。給与明細から実額を計算できる場合は手動入力を推奨。

3. 税額計算のロジック

ざっくり説明

所得税は累進課税で、年収が高いほど税率も高くなります。年収500万円なら20%、3,000万円なら40%程度です。住民税は一律10%です。

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3-1. 給与所得控除

給与年収から差し引かれる控除額:

給与年収 控除額
162.5万円以下55万円
162.5〜180万円年収×40% - 10万円
180〜360万円年収×30% + 8万円
360〜660万円年収×20% + 44万円
660〜850万円年収×10% + 110万円
850万円超195万円(上限)

3-2. 所得税の累進税率

課税所得 税率 控除額
195万円以下5%0円
195〜330万円10%9.75万円
330〜695万円20%42.75万円
695〜900万円23%63.6万円
900〜1,800万円33%153.6万円
1,800〜4,000万円40%279.6万円
4,000万円超45%479.6万円

3-3. 復興特別所得税

所得税額 × 2.1%(2037年まで)

3-4. 住民税

所得割: 課税所得 × 10%

均等割: 5,000円(自治体により若干変動)

4. 減価償却のロジック

ざっくり説明

建物と設備を「耐用年数」に応じて毎年少しずつ経費にする仕組み。これが「節税」の正体です。設備(15年)は建物本体(47年)より早く償却されるため、節税効果は数年で消えます。

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4-1. 減価償却の基本

不動産は経年劣化するため、購入価額を「耐用年数」に応じて毎年少しずつ経費計上できます。これが減価償却です。建物・設備の両方が対象で、土地のみ対象外です。

4-2. 構造別の法定耐用年数

構造 建物本体 附属設備
RC造(鉄筋コンクリート)47年15年
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)47年15年
鉄骨造34年15年
木造22年15年

4-3. 中古物件の耐用年数計算

新築ではなく中古を購入した場合、残りの耐用年数は以下の式で計算します:

耐用年数 = MAX(法定耐用年数 - 経過年数 + 経過年数 × 0.2, 2年)

例: RC造マンション築15年の場合

  • 建物本体: 47 - 15 + 15×0.2 = 35年
  • 附属設備: 15 - 15 + 15×0.2 = 3年(最低基準)

4-4. 減価償却の計算方法

本ツールでは、減価償却を以下の式で計算します:

年間減価償却額 = 取得価額 / 耐用年数(端数切捨て)

これは「定額法」の実装で、実際の確定申告と一致するように設計されています。

例(中古RCマンション、売買代金3,060万円):

  • 建物本体: ¥5,970,000 / 35年 = ¥170,571/年
  • 附属設備: ¥3,210,000 / 3年 = ¥1,070,000/年

国税庁が公表する減価償却率テーブル(例: 耐用年数3年→0.334)は法人決算等で使われますが、四捨五入による微小な誤差を含みます。本ツールでは、より正確な単純除算方式を採用しています。

4-5. 取得価額の考え方(取得諸費用の按分)

減価償却の対象となる「取得価額」は、建物本体・附属設備の購入価格そのものではなく、 仲介手数料・登記費用・不動産取得税などの付随費用を建物比率で按分加算した値を用います。 これは国税庁通達13-1-1および所得税基本通達38-7に定められた取得価額の考え方に準拠したものです。

建物本体の取得価額 = 建物価格

+ (取得諸費用+仲介手数料+不動産取得税)

× (建物価格 / 売買代金)

附属設備の取得価額 = 附属設備価格 + (同様の按分)

具体例(中古RCマンション 1,500万円、築20年、仲介会社経由):

  • 売買代金: ¥15,000,000
  • 建物価格(30%×70%自動計算): ¥3,150,000
  • 仲介手数料: ¥561,000((売買代金×3%+6万)×1.1)
  • 不動産取得税: ¥170,100
  • 取得諸費用: ¥0(簡略化のため)
  • 建物への按分額: (561,000 + 170,100) × (3,150,000 / 15,000,000) ≈ ¥153,531
  • 建物本体の取得価額: 3,150,000 + 153,531 ≈ ¥3,303,531
  • 耐用年数: 31年(47 - 20 + 4)
  • 年間減価償却: ¥3,303,531 ÷ 31 ≈ ¥105,000前後

注意: 自動計算モードでは「フォームに表示される建物価格」と「実際の減価償却基礎」が一致しません。 上の例では表示は ¥3,150,000 ですが、減価償却計算には ¥3,303,531 を使います。 取得諸費用・建物価格・附属設備価格をすべて手動入力した場合は、入力値がそのまま按分済の取得価額として扱われるため、追加按分は発生しません。

土地分の付随費用は減価償却対象外ですが、売却時の譲渡所得計算で取得費に算入されます(売却時計算ロジック参照)。

4-6. 「節税が終わる年」のしくみ

不動産投資の節税効果は、減価償却によって不動産所得が赤字になることで生まれます。給与所得と相殺(損益通算)して、税金が還付されるのです。

しかし附属設備の減価償却が終わると、減価償却額が大きく減少し、不動産所得が黒字に転換します。すると:

  • 給与所得 + 不動産所得(黒字)に対して課税
  • 税金が増える(追加納税)
  • 節税どころか、税金を多く払うことになる

築15年以上の中古マンションでは、附属設備の耐用年数が最低基準の3年になり、4年目から減価償却が消滅します。これが「節税が3〜4年で終わる」と言われる構造的な理由です。

5. サブリース契約の経済性

ざっくり説明

サブリース(一括借り上げ)契約は、空室リスクを業者に転嫁する代わりに、相場家賃の85〜95%程度の固定送金額に減額される仕組みです。本ツールは「現在の送金額が変わらない」前提で計算するため、賃料減額条項・解約困難性・「30年保証」の実態というリスクは結果に反映されません。

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5-1. サブリースの仕組み

サブリースは、不動産業者がオーナーから物件を一括で借り上げ、自社が貸主となって入居者に転貸する契約形態です。オーナーは入居者ではなくサブリース業者と賃貸借契約を結び、毎月固定額(送金額)を受け取ります。

送金額は通常、相場家賃の85〜95%(サブリース料率5〜15%)に設定されます。料率の対価として、業者は空室・滞納・原状回復・入居者対応などの運営リスクを引き受けます。

数式

送金額 = 相場家賃 × (1 − サブリース料率)

例: 相場8万円・料率10% → 送金額 7.2万円/月

5-2. 「30年家賃保証」の実態

「30年家賃保証」「長期サブリース」と銘打たれる契約の多くは、送金額そのものを30年間保証するものではありません。実態は次の2層に分かれます:

  • 業者側の借上げ権利の保証: 業者がオーナーに対して30年間、物件を借り続ける権利を確保する。
  • 送金額は変動しうる: 通常2年ごとの見直し条項により、送金額は契約期間中も減額される可能性がある。

「30年保証」は契約の安定性ではなく、業者の借上げ継続という意味で使われることが多い点に注意が必要です。

5-3. 賃料減額条項と借地借家法第32条

契約には通常、家賃見直し条項が含まれます。借地借家法第32条は、租税負担の増減・経済事情の変動・近傍同種家賃との比較により、賃借人(=サブリース業者)が家賃減額を請求できる権利を定めています。

最高裁平成15年10月21日判決は、サブリース契約においてもこの32条の減額請求権が業者側に認められると判示しました。これにより、契約書に「家賃保証」と書かれていても、業者からの減額請求自体は法律上拒めません。

実務上の影響

周辺相場の下落・空室の長期化・修繕費用の増加などを根拠に、業者から「来期から送金額を◯◯円に下げたい」と提示されるケースがあり、合意できなければ調停・訴訟に進む可能性があります。

5-4. 解約困難性と借地借家法第28条

オーナー(賃貸人)からサブリース契約を解約する場合、借地借家法第28条により「正当の事由」が必要です。サブリース業者は借主の地位として保護されるため、オーナーが「料率が高すぎるから解約したい」「自分で運営したい」と考えても、一方的には解除できません。

実務上は、立退料の支払いや業者との合意解約交渉が必要になることが多く、契約を抜けるコストが高くなる傾向があります。

※ 2020年12月施行の賃貸住宅管理業法により、サブリース業者には誇大広告禁止・重要事項説明義務(第30条)が課されました。ただし契約構造そのものの法的リスク(28条・32条)は残ります。

5-5. 一般管理 vs サブリースの収益性比較

同一物件で「一般管理(管理委託)」と「サブリース」を比較した場合の年間収支イメージです(相場家賃8万円・空室率5%・賃貸管理委託料5%・サブリース料率10%の前提):

項目 一般管理 サブリース
月額家賃 / 送金額 ¥80,000 ¥72,000
空室率による減 −5% 0%(業者負担)
賃貸管理委託料 −¥4,000/月 ¥0(料率に内包)
年間家賃収入(税務上) ¥912,000 ¥864,000
差額(年) 基準 −¥48,000

※ 一般管理側で計算: 80,000 × 12 × (1 − 0.05) − 4,000 × 12 = 912,000 円
※ サブリース側で計算: 72,000 × 12 = 864,000 円
※ 上記は単純比較で、空室の長期化・原状回復費・滞納リスクが現実化した場合は一般管理側の収入が下振れし、サブリース側との差は縮まります。

5-6. このシミュレーターの計算上の前提

Step 4 で「契約形態 = サブリース」を選択した場合、本ツールは次の前提で計算します:

  • 家賃収入(税務上) = サブリース送金額 × 12 ヶ月。
  • 賃貸管理委託料 = ¥0。料率はすでに送金額に内包されているため、別途差し引かない。
  • 空室率 = 0%。空室リスクは業者が引き受けるため、オーナー側の収入には影響しない(ただし業者倒産時のリスクは別)。
  • 送金額は契約期間中、一定と仮定して計算。実際は2年ごとの見直しで減額される可能性があり、結果ページに警告ボックスで明示しています。
  • Step 4 の家賃入力欄横の「実家賃の推定値(参考)」は、料率5〜15%を逆算した相場家賃のレンジ(送金額 ÷ 0.95〜0.85)であり、税務計算には使いません。

本ツールでは「現在の送金額が変わらない」前提を採用しており、賃料減額条項・解約困難性・業者倒産・サブリース料率の上昇といったシナリオは結果に反映されません。これらのリスクが実現した場合、税後キャッシュフローは試算より悪化します。

出典:

  • 借地借家法 第28条(解約申入れに正当事由を要求)
  • 借地借家法 第32条(賃料増減請求権)
  • 最高裁平成15年10月21日判決(サブリース契約への借地借家法32条の適用)
  • 国土交通省 賃貸住宅管理業法

6. ローン返済のロジック

ざっくり説明

元利均等返済(毎月の返済額が一定)と元金均等返済(元金部分が一定)の2方式があります。一般的には元利均等返済が選ばれます。

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6-1. 元利均等返済

毎月の返済額が一定で、最初は利息の比率が高く、徐々に元金返済に振り替わる方式。

月額返済額 = 借入額 × 月利 × (1+月利)^N / ((1+月利)^N - 1)

6-2. 元金均等返済

毎月の元金返済額が一定で、利息は残高に応じて減少する方式。返済初期の負担が大きいが、総支払利息は少なくなる。

月額元金 = 借入額 / 総月数

月額利息 = 残高 × 月利

6-3. 投資物件での主流

投資物件のローンでは、月々のキャッシュフロー予測がしやすい元利均等返済が一般的に選択されます。

7. 損益通算と税金への影響

ざっくり説明

不動産投資の赤字を、給与所得から差し引ける制度。これにより税金が還付されます。ただし「土地の利息部分」は対象外です。

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7-1. 損益通算とは

不動産所得が赤字の場合、その赤字額を給与所得など他の所得から差し引ける制度(所得税法第69条)。これにより:

  • 課税所得が減る
  • 所得税・住民税が減る
  • 還付金が発生する

これがサラリーマン大家の「節税」の仕組みです。

7-2. 土地利息の制限(所得税法施行令第26条)

重要な制限: 不動産所得が赤字の場合、土地等を取得するためのローンの利子部分は損益通算の対象外です。本ツールはこの制限を厳密に実装しています。

計算式:

土地利息 = 年間ローン利息 × (土地価格 / 売買代金)

土地価格 = 売買代金 - 建物本体価格 - 附属設備価格

不動産所得が赤字の場合:

損益通算不可額 = MIN(|不動産所得|, 土地利息)

損益通算可能額 = 不動産所得 + 損益通算不可額

例(中古RCマンション、売買代金3,060万円・築15年):

  • 土地価格: 約2,142万円(売買代金の70%)
  • 1年目の年間ローン利息: 約48万円
  • 1年目の土地利息: 約34万円(48万円 × 70%)
  • 計算上の不動産所得: 約-107万円(赤字)
  • 損益通算可能な赤字: -107万円 + 34万円 = 約-73万円

これにより、節税効果が制限なしの場合より小さくなります。業者のシミュレーションでこの制限が考慮されていない場合、節税効果が過大に見積もられている可能性があります。

8. 売却時の計算ロジック

ざっくり説明

売却時には「譲渡所得税」がかかります。5年以下の保有では税率が約2倍(39.63%)になるため、保有期間が重要です。

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8-1. 譲渡所得の計算

譲渡所得 = 売却代金 - 譲渡時の簿価 - 譲渡費用

譲渡時の簿価 = 取得費 - 減価償却累計

譲渡費用 = 売却代金 × 3.3% + 6.6万円(仲介手数料の標準)

減価償却を多く取っているほど簿価が下がり、譲渡所得(売却益)が大きくなります。

8-2. 譲渡税率

保有期間 区分 税率
5年以下 短期譲渡 39.63%(所得税30% + 復興税0.63% + 住民税9%)
5年超 長期譲渡 20.315%(所得税15% + 復興税0.315% + 住民税5%)

判定は「売却した年の1月1日時点」で5年を超えているかどうか。実質的には取得から6年経過後に売却すれば長期譲渡になります。

8-3. 売却後の手取り

売却後手取り = 売却代金 - 譲渡費用 - 譲渡税 - ローン残高

8-4. 保有期間トータル損益

トータル損益 = 保有中の累計CF + 売却後手取り - 当初自己資金

当初自己資金 = 売買代金 + 取得諸費用 + 不動産取得税 - 借入額

9. 出典と参考資料

計算ロジックの詳細を確認したら、実際にシミュレーションを試してみてください。

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